2016年3月26日土曜日

前川國男 建築セミナー

「埼玉会館」から「埼玉県立歴史と民族の博物館」へ
〜打ち込みタイルと建築的プロムナードに込められた想いを探る〜
講師:前川建築設計事務所 橋本所長

埼玉県立歴史と民族の博物館(旧埼玉県立博物館)は木々の中にある佇まいに前川國男の思いがある。
威厳のある国博との違い。
外部空間と内部空間のつながりを意識した視線演出。
壁と流れ。佇み。 建築の散策路。人の流れ。
一筆書きできる。ムーブメントが良いプランに必要。
人間は文明によって自然を破壊する必然がある。自ら破滅しないために、破壊しただけの自然をどこかで復元する必要がある。 大事なことは建築ではなくて人間の生活。

 「打ち込みタイル」 =前川建築 
近代主義 モダニズム 19-20世紀初頭、台頭した市民社会の自由平等独立の原理を確立しようとした思想的立場。 建築ではコルビジェが旗手。
コルビジェ、レーモンドの元で学んだ前川はモダニズム実現のために日本の建築技術向上が必要だと考えた。
建築はファッションではない。
素材の性質を元にディテールを考える。

テクニカルアプローチ=前川建築 
高度成長期 素材開発がメーカーやゼネコンに移ってきた。 大量生産、合理主義に懸念。
資本主義的消費社会は人間本位の建築を成り立たせない。
「近代建築とは月夜の蟹の如し」 身も中身もない形だけになってしまう。
50.60年代ブルータルな重い建築に変わってくる。
環境悪化に伴いコンクリート劣化が早まった。
コンクリートをタイルで覆い寿命を延ばすこととした。 

「建築的プロムナード」
1923年ジャンヌレ邸を説明したコルビジェのことば
前川はドミノシステムに共鳴していた。

四角いシステムを様々に展開。展開、連結、雁行、重なり。つなぐ庭、広場。
日本の書院造りに見られる考え方。
弟子の丹下は寝殿造り 行事性が強い
師匠の前川は書院造り 人々がそぞろ歩き 

自然といかに調和するか、その知恵と経験を蓄積してきた日本文化の有り様 
埼玉県立博物館は西欧的な近代合理主義建築と決別して、日本的感性による自然と共生して佇むという独自の風土に根ざした建築を目指した。
70年代以降の前川建築を象徴するもの、マイルストーンとなった。

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