2019年9月16日月曜日

「風景の科学」展 特別トークショー


篠田 謙一(国立科学博物館 副館長) 
竹村 眞一(文化人類学者) 圧倒的な教養にひれ伏す。
佐藤 卓(グラフィックデザイナー)

篠田
「芸術と科学の融合」というテーマを佐藤卓さんが持ち込んだ。
どちらも物を観察することから始まった。
上田さんの風景写真に研究者がコメントをつけた。3年をかけて実現した。

佐藤
研究者とデザイナーは同意ではないか。
いろいろ分けられているものは繋がっている。分けられたものを繋げられないか。
デザイナーは「つなぐ」ことが仕事。

竹村
インターネットに繋がる「触れる地球」
前回の東京オリンピックのときは1000万人以上のメガシティはニューヨークと東京の二つだった。今回は40箇所を超える。人間の影響が増えている。
我々が変われば未来は変わる。
我々が地球を理解始めたのは最近のこと。100年前ウェゲナーが大陸移動を唱えたら笑われた。

篠田
地球が作る風景
生物が作る風景
人間が作る風景
を「触れる地球」が表現した。

竹村
歴史を学ぶこと
今のことだけで想像することと、地球、生物、人類の歴史を踏まえて想像することはまったく違う。
日本の自然は人が地球とコラボしながら作ってきた。田んぼは急峻な水の流れをスローにした。日本は降水は多いが使える水は少なかった。人は使える水を増やした。コメを作る工場以上の価値が大きい。田んぼは豊かな生態系を作り出した。人の手を入れ続けなければならない。
西洋では人間は自然と敵対する位置づけだが、東洋は自然と共生する認識。
人間が手を入れることで地球にもっと貢献できるはず。調律者として大事。

図書館 シアター型
百科事典 パッケージ型
VOD
ユビキタス型(現地で知を引き出せる)

佐藤
想像力 好奇心 
ながら歩きが大事

篠田
知らないかことが沢山あることを知っていることが大事。わからないことだらけ。博物館はわからないことを隠している。

竹村
科学は未知の既知化ではなく、既知の未知である。by 原研哉
リアルの解像度が上がる。
博物館の価値。なんでもない石が面白くなってる時代。所蔵品は将来世代にもっと大きな価値を生む。未来に対する責任。

篠田
博物館は過去と未来をつなぐ仕事。
しかし今にしか予算がつかない。国に理解がない。政治家、企業家のリテラシーを上げて国を動かさなければならない。

人間は混ざり合ってきた。大陸から来た弥生人8割に縄文人がスパイスを与えている。

研究者は風景画に焦点を見いだせなくてコメントが増えなかった。最終的には半数の26名が参加した。

佐藤
やってみなければわからないこと。
そういうことができなくなると国は滅ぶ。
だから風景写真に対する研究者の挑戦を期待した。

竹村
「ウン考展」はどうでしょう。
本来、自然界にはゴミがない。ゴミがあるのはデザインの失敗である。循環が大事。

2045年のシンギュラリティは「コンピュータが人間を超える日」というのは誤訳。「AIを使って人間が人間を超える日」である。
人間は過去、言葉、道具によってアップデートを繰り返してきた。次が楽しみ。

地球上生物の総体重の99%は人間と家畜。野生動物は1%しかいない。絶滅進行が激しい。我々は地球をそうしてきたことを認識していない。博物館は知らせる義務があるのではないか。

@国立科学博物館講堂