2009年6月30日火曜日

第2回「クリエイティブ・トークセッション in アクシスギャラリー」

福岡伸一×佐藤 卓
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「分かる」
世界を分ける→分節・分断化
分けて理解する。ということ。

アメリカのヒトゲノム計画はDNAすべてのタンパク質をを掃討作戦のように読みつくした。
しかしそのタンパク質を混ぜても生命は生まれなかった。ただのタンパク質のミックスジュース。

我々はタイムストッパーを持っている。写真はその代表ツール。
我々は時間を止めないと分けられない。
しかし時間の関数は二度と同じことは起こらない。
止められないから止めたい。
止めないと見えない。
止めると失われるものがある。
流れのなかで起きていることは流れの中で見ないとわからない。

「形にする」
デザインが抽出しているものは刹那的で暫定的な秩序である。常に更新されるもの。
変わらないように見えるものはサブシステムでは激しく変化している。
生物は分子レベルでスクラップ&ピルドを繰り返している。
エントロピー増大の法則に追いつかれないスピードで更新している。
しかしエントロピー増大の法則に追いつかれたときに死を迎える。

細胞がどのように自分を決めていくか。
脳になるのか、筋肉になるのか、皮膚になるのか。DNAは設計図と呼ばれることが多いが、実はカタログブックである。何かになるときのパーツを用意している。全体を統括する司令塔のようなものは存在しない。ではどのように細胞のなりようが決定されるのか。それは周りとの関係性でそれぞれが決定する。
周囲との関係性を絶った初期細胞のなかで生きのびるものがある。何になるか決定しないまま増殖する。周りとの関係性を与えたときにいかような細胞にでもなれる。これがES細胞。しかし周りとのコミュニケーションをとれないまま増殖してしまうのがガン細胞。

個性とはすでにそこにあるもの。求めるものではない。周りとの関係性の中でできてくるもの。

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質問者:「持続可能社会」や「サスティナビリティ」という言葉をよく使う仕事をしています。しかしあまりしっくりときていないのです。お二人はどのようにお考えになりますか?
福岡:サスティナビリティとは流れを止めないことだと思います。CO2は流れの一要素です。これが滞留していることに問題があります。INPUTに対してOUTPUTが小さい。INPUTは化石燃料を燃やすことです。OUTPUTは植物がCO2を吸収すること。植物にしかできない。人間はこれを応援することしかできない。CO2を地中に埋めようという行為は流れを止める行為だと思っています。
佐藤:私にはお答えできません。同じように悩んでいる立場です!