2010年5月3日月曜日

【本】アップルとグーグル

小川浩×林信行 著

グーグルは、自身ではコンテンツをつくらない。グーグルがやろうとしていることは。ウェブの検索エンジンという狭い領域ではなく、世界の情報を整理して検索できるようにすることだ。ウェブにあるものはすでに公開されているから、クロールしてデータベースに溜めてしまう。ならば、ユーザーのメールの中はどうなっているのか。あるいはパソコンのハードディスクの中はどうなのこ。または、これから入力されてくるデータを効率よく検索するにはどうしたらよいのか?といった疑問に対して、どう答えていくのか。そこがグーグルが取り組んでいることだ。
ブロガーやピカサを買収して、そもそもデジタル化されていない、ウェブ上にないデータをも検索対象にするために、様々なことをしている。やがてグーグルは、検索サービスというよりも巨大なストレージサービスとして認識されるようになるかもしれない。
アップルはあまりそういったことを考えていない。ある意味、グーグルに任せてしまっているのかもしれない。
ユーザーにとってそもそもネットワークに接続されていることが大事であり、CPUのパワーや回線のスピードに重点が置かれていた。それがある程度整備されてしまうと、今度はその上のインターフェイスに関心が向く。新しいサービスが普及するにしたがって、それが何であるかを考える人は少なくなり、単に利用するだけになる。そして使い勝手に興味が移る。
それと同じようにウェブが何であるかを意識する人も今となっては本当に少ない。水道からなぜ水が出るのかを考えることはなくなって、蛇口のデザインにこだわったり、浄水器でも付けるかということに関心が集中する、ウェブの中を整理したり、ありとあらゆる情報をウェブに置くというようなことはグーグルに任せて、自分たちは蛇口を付けるビジネスをやるよ、ウェブを使うための道具は任せてくれというのがアップルの考えだと思う。