2011年10月24日月曜日

【本】齋藤孝のざっくり!世界史

齋藤孝 著

5つのパワーを切り口に世界史をみる。
1:近代化、モダニズム
2:帝国主義
3:欲望
4:モンスター
5:宗教

1:資本主義はプロテスタント世界で花開く。プロテスタントはその厳格さゆえ仕事は「ベルーフ(Beruf/転職)」と呼ばれ、一生懸命働くことが神への奉仕になるとされた。働いてたまった金は仕事の拡大のために使った。つまり「投資」これが資本主義の母体となった。
近代において「視線」を支配することが権力につながっていく。見られる側は見るものに支配されている。「情報を握ること」が、権力の中心になってきている。

2:世界史は「アイデンティティ」をめぐる戦い。帝国の根源は「俺様に跪け!」。この欲望に際限はなく、領土を広げること自体が目的化していき、それが原因で崩壊していく。イスラム帝国は野望に取り付かれた「人」が領土を拡大していくのではなく、イスラム「文化」が広まっていくという特徴がある。

3:「モノ」と「あこがれ」が歴史を動かす。黄金は人間の欲望の象徴。それは錬金術へ人を駆り立て、それが科学を生み出した。
ブランドは「記号」。本来それがもつ特有の技術による品質に皆が憧れをもつことで培われるもの。土地や人と切り離しては成立しない。

4:マックス・ウェーバーはロシア革命の翌年に「官僚制の必然的な結果として社会主義は滅びる」と予言した。社会主義が歴史の必然なのではなく、官僚制が歴史の必然だった。共産主義・社会主義は理想であるがゆえに正論であるがゆえに成功しなかった。

5:ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が説く「神」は同じ神。最も侵略行為と相性の良いのが「愛の宗教」といわれるキリスト教。西洋の世界侵略の口実として使われた。日本人が考えている以上に世界は宗教で動いている。