2009年3月26日木曜日

「人間の覚悟」 五木寛之

「あきらめる」ことを「覚悟」と表現した。「あきらめる」とは「明らかに究める」こと。「はっきりと現実のあり方を見定める」「現実をありのままに冷静に判断する」行動するためには自分の置かれた状況をはっきしと見極めること。感情に左右されたり示威的に見たりしないこと。人間は見たいものしか見ない。期待することしか見ない。冷静に見たくないものもしっかり見ることが大事。

 これから大きな変革が起きる。金融危機を受けて政治家や経済学者は経済回復は2,3年かかる、4,5年かかると言われているがこれは冷静な判断ではない。40~50年はかかるのではないかと思う。グリーンスパンが100年に1度の危機と言ったが甘い。500年に1度の変革期が訪れていると思う。ルネサンスヒューマニズムの崩壊かもしれない。 1991年から社会変化を感じはじめたが2001年の9.11ではっきりと世界が回り始めた。このような大転換期にあると認識すべき。

 状況判断的には悲観的に、行動的には楽観的にすべきだ。
イギリスのコリン・ウィルソンは「口笛を吹きながら夜を行け」と言っている。まず今は昼か夜か判断すること。夜ならばそれなりの歩き方をすること。今歩いている道が雪道なのか荒れ道なのか舗装道なのか見極めて状況にあわせた歩き方をすべき。夜の道も悪くない。

 日本はこの50年間「躁」の時代だった。こらから「鬱」の時代。戦後高度成長期ずっと躁の状態で走り続けてきた。バブル崩壊を受けて「鬱」の時代に入った。今生きている人は「鬱」の時代を覚悟して生きるべき。
状況である。いやでも見極めなければならない。我々は「日はまた昇る」などと妄想を抱かずに「優れた小国」へ向けて努力すべき。少子化、GDP減少を受け入れて「尊敬される国」を目指すべきだ。