2011年6月5日日曜日

鋳物

昨日、展示会で能作のスタッフさんと話しをしていろいろ昔のことを思い出した。ずいぶん鋳物に縁があったんだよな。
中子。壺などの中空をつくるために鋳型と合わせて使う型。砂を焼き固めた物で鋳造したあと中子を崩す。ひとつの製品を製造するのにひとつ用意する。ひとつ作るのにひとつ壊す。
桑名に暮らしていた小学生時代、近所の鋳物工場が遊び場だった。工場の裏には不良品の鋳物がたくさん。コマなんかもあって宝の山だった。鉄色の残骸の中に赤い砂でできた物が混じっていた。あれ、中子だったんだ。叩いてやると崩れた。面白かったように思う。破壊の快感だったんだ。
幼稚園にあがる前、川口のばあちゃんによく預けられていた。隣にはじいちゃんが始めた小さな木型工場。当時は叔父貴が継いで仕事をしていた。鍋や機械部品の木型が多かったらしい。木屑がいっぱいで木の香りがたちこめていた工場。作業台の上には図面、赤鉛筆、金尺、コンパス。墨壷もあった。図面を読みとって、ちゃっちゃと材料に赤線入れていた。作業台には万力が付いていてカンナがけ。いろいろなノミや鎚なんかの道具も使っていた。大きなバンドソーや電動カンナなんか危なっかしい工作機もあって動かすとけたたましい音をあげて恐ろしい気持ちになったものだ。
図面に沿って道具を使って材料を製品に加工する。こんな過程を3歳頃に見てたんだ。ものづくりが身近にあったんだな。叔父貴のしごとしている姿を久しぶりに思い出した。