2017年5月16日火曜日

レヴィトロープ Levitrope


落合陽一 Yoichi Ochiai
2017 ミクスドメディア/Mixed Media
浮遊は神秘的な現象だ。重力下で空中に物質が止まる現象は自然との決別を思わせる。それゆえ浮揚は多くの奇術に取り入れられ、その神秘性が人を魅了してきた。ステージの上の浮揚は奇術師の神秘的な能力として映るが、人が介在しない浮揚は鑑賞者に身体性を強烈に思い起こさせる。なぜなら、重力下で支配された自分の身体と重力を解き放つ浮揚物の間の対比が、再帰的に自らの身体を強く意識させるからだ。この"Levitrope"というメディア装置は、"lev(浮揚)"と"trope (回転)"からなる造語で名付けられた装置だ。このメディア装置は金属球が磁気浮上させ、景観を球体に写し撮りながら。車輪状に回転し続ける。エジソンの時代、回転するイメージによって人は自然から実質的な世界を切り出すことに成功した。ここに実体を閉じ込めた外見を回転させ続ける装置によって計算機自然時代のメディアインスタレーションを考えたい。

浮揚の非現実感が消失すると映像的外見のみが残る、鏡の持つ高解像度で輝きを放っ獘しさ、そこに写り込んだ空や雲の低解像度で拡散する光の美しさ。山紮水明の景観を切り取る反動運動鏡彫刻、景観を切り出す鏡のテクニウム。
ジャパニーズテクニウム展 @ヤフー株式会社