2020年8月1日土曜日

いーぐる 横断的クラシック講座第 20回 『第1次世界大戦とスペイン風邪は音楽に何をもたらしたか』

いーぐる 横断的クラシック講座第 20回
『第1次世界大戦とスペイン風邪は音楽に何をもたらしたか』

林田直樹

第1部(上映)
~文明の退廃とグロテスク、真夜中の病的幻想、少数の美学と悪趣味、自殺願望~
●アルノルト·シェーンベルク(1874-1951):月に愚かれたピエロ(ピエロリュネール)
op.21 ※約 37分
クリスティーネシェーファー(ソプラノ) ピエール·ブーレーズ指揮 アンサンブル·ア
ンテルコンタンボポラン 映像監督:オリヴァーヘルマン 2000 年制作
Arthaus 

歌と語りの中間表現 
アートは危険と隣り合わせ。
文化を背景にしてアートは生まれる 後藤

第2部
~ブラジルの「白いインディオ」と呼ばれた超多作な作曲家の郷愁、 それでもヨーロッ
パの過去の伝統や様式に倣うこと~
●エイトルヴィラ=ロボス(1887-1959):ガヴォット=ショーロ ※約6分
ローリンドアルメイダ(ギター、 1917-95 ブラジル)
Naxos classical archives

ラテンミュージックはクラシック、ジャズにつながる
映画「マチネの終わりに」に使われている曲

~戦争と疫病の時代の新しい試み(1)最小限の編成、 移動可能な音楽へ「すべてを手
に入れる権利は誰にもない」~
●イーゴリ·ストラヴィンスキー: 兵士の物語 ~第2部終幕の大団円 ※約7分
ジャンコクトー(語り、当時73歳) イーゴリ·マルケヴィッチ指揮 アンサンブル·ド·ソ
リスト 他
Philips 

骨と皮と筋でできた音楽をしゃぶる。
肉と油がない。
ラストシーンの意味は「全てを手にする権利は誰にもない」

~戦争と疫病の時代の新しい試み(2)「亡くなった友人たちに送る音楽、そして 200 年
前の音楽を身近に感じること」
●モーリスラヴェル(1875-1937):クープランの墓 ~メヌエット/リゴドン ※約8分
ジョゼプ·ポンス指揮 パリ管弦楽団
Harmonia mundi

ラヴェルは志願して従軍した。トラック運転手。
フランスバロックに基づいた曲。
フィルハーモニー・ド・バリという最高な音響の最新ホールでの録音。
ガラス張りの開放的なリハ室がたくさんある。

~感染症を恐れ、握手を怖がった作曲家の、アンダルシアの野性と神秘の炎~
●マヌエル·デ·ファリヤ (1876-1946):「恋は魔術師」 ~火祭りの踊り ※約4分
ホアキン·アチューカロ (ピアノ)
Sony

ドイツともフランスとも異なるピアノ曲

~移民の国アメリカの風景。ありのままの混沌を肯定。大衆におもねらない前衛と自
由~
●チャールズ·アイヴズ(1874-1954):はしご車のゴング、あるいはメインストリートを行く消防士のパレード ※約2分
レナードバーンスタイン指揮 ニューヨーク·フィル
Deutsch Grammophon

街の音が風景のように取り込まれている。

~革命と戦争のロシアから、わたしの嘆きを打ち砕いてくれるものへの感謝~
●セルゲイプロコフィエフ(1891-1953):「緑のつぼ(ロシア民謡)」 ※約 4分
セルゲイ·アレクサーシキン(バス) ユーリーセローフ(ピアノ)
Triton

ロシア革命を機にプロコフィエフは日本を経由してアメリカに亡命。5ヶ月ほど日本に居た。

~戦争と疫病の時代の新しい試み(3)日本近代音楽の草分けが考えたことは「歌曲を」
●山田耕作(1886-1965):赤とんぼ ※約3分
平山美智子(ソプラノ、録音当時 90 歳) 高橋アキ(ピアノ)
Camerata tokyo

前衛、アバンギャルドを経験した歌手が歌う録音

~タタール系女性作曲家が描く、 恐怖と悲しみと空虚を埋めるために、飲まずにはい
られない人々~
●ソフィアグバイドゥーリナ(1931-):ペスト流行時の酒宴(プーシキン原作) ※約 23

マリスヤンソンス指揮 ロイヤルアムステルダム·コンセルトヘボウ管弦楽団
RCO Live

ペスト流行の中、路上で宴会する人々。
今を予言するような曲。

~14世紀ペスト大流行時、生きる苦しみを神に訴える歌。西洋と非西洋の境界~
●ギヨームド·マショー(1300-1370):モテット「母なる乙女、 幸いなる乙女、私はあな
たにため息し、悼み、泣く」/《ノートルダム·ミサ曲》入祭唱「聖なる母よ」 ※約9分
グランドラヴォア
Glossa

生きることは辛いと神に訴えている。
中世はキリスト教とイスラム教がグラデーションになっているような響き。