野村順一 著 序文より
アイザック・ニュートンは「色彩は光そのものである。」という言葉を残している。
色彩は光である。白光(太陽光線)は種々の色光からなり、その異なる屈折率によって七つに分散し、光の帯(スペクトル)が生じる。赤、橙、黄、緑、青、藍、紫である。
光とは何か?光は電磁波である。真夏の海辺の砂が熱くなる。それは白光の長波長で目に見えない赤外線(熱線)が温めているからだ。光は赤から肉眼で見え始め、紫を経て再び目に見えない紫外線になる。
紫外線は人体に当たると50%を皮膚で反射し、残る50%が体に取り込まれ熱に変わり、ビタミンDをつくるはたらきをする。紫外線よりさらに波長が短くなると、X線、ガンマ線、宇宙船となっていく。
色彩はどこで見ているのか? 当然、目であるが、皮膚でも色彩を見て(感じて)いる。
光や色彩によって私たちの筋肉は緊張・弛緩をくり返す。このはたらきをトーナスという。生体はいつも光を求めているから、光の加減や色彩によって、体の筋肉が緊張・弛緩する現象を脳波や汗の分泌量から客観的に示した「ライト・トーナス値」と呼ばれる数値がある。
一番弛緩した正常値が23で、ベージュ色、パステルカラーがこれに近く、青が24、緑が28,黄が30となり、橙が35で緊張・興奮に変わり、赤は42で最高潮、血圧まで上げてしまう。では、なにゆえ、生体にそのような反応が起きるのか?
生体もまた種々の元素からなるものであり、元素はつねに振動(バイブレーション)しているため、その振動が光や色彩の波長(振動)に呼応する。これをシナジー(synergy:共力作用、生体組織の機能または効果がその単独作用の和よりも大きい結果を出す現象)という。
つまり、光は生命、色彩は人の心と体に大きな影響を持つ。
たしかに、色彩は光の本質であり、光は生命の根源である。したがって、生命は色彩である。私たちの体の器官は、それぞれに特定の色彩を持っている。