2010年7月4日日曜日

【本】モレルの発明

アドルフォ・ビオイ=カサーレス著

ICCで見た「モレルのパノラマ」で藤幡正樹本人が映像の中で朗読している本。
あの作品は映像にとりこまれた自分を観る不思議な体験をした。マトリックスのアーキテクトの部屋のような。次に体験する時にはちょっと命の危険を感じるかも。写真を撮ったら魂を奪われる感覚に。

本書は1940年発表。大戦がはじまった翌年。「風と共に去りぬ」がアカデミー賞を受賞した年。この時代に「モレルが発明した機械」のような新メディアの概念が提示されていることに驚く。
現実空間ではすれちがったフォスティーヌと<私>は引き込まれた映像のなかでは親密な関係になる。映像にとりこまれると現実の命は閉ざされるが、映像内の望んだ<私>の姿をみていると現実の死は恐ろしくない。
Net社会で多様性をもちはじめた人格のありようが予想されているようだ。

※memo
100327に芸大で開催された藤幡正樹座長のセッション「LOOP-01
http://www.ustream.tv/channel/loop-001