@東急新宿歌舞伎町タワー
Build Burger
ビルの3階分のフロアを切り抜き、各階の残留物とともに積み重ねた建物自体の彫刻作品。
壊すこと、 建築すること、という相反する2つのプロセスによって「スクラップ&ビルド」を可視化する。
また、ファストフード的なタイトルは大量消費に由来し、 都市の再開発にファストなサイクルを重ね合わせる。
本作の素材は2018年12月に解体された歌舞伎町2丁目の通称「歌舞伎町ブックセンタービル」のものである。
ビルのテナントであったSmappa! Groupとの共同でChim↑Pomは建物の最期となるプロジェクト「にんげんレストラン」を10月に開催。
「エンターテイメント・シティ」としてその地の再開発を予定したオーナー会社の「ロボット・レストラン」になぞらえ、パフォーマンスによって人間が入り乱れる現場を作り出した。
また、それらをショウとして観覧するレストランを開店。 メニューにはアメリカの死刑囚の「ラストミール」の数々が揃えられた。
背景には闇市をルーツとする歌舞伎町のボトムアップな公共性への接続があった。
屋根もがカットされて1階から空が臨めた縦穴は、屋内を野外的な「青空レストラン」とし、現在ヒルバーガーとなっている3つのスラブは1階でステージやテーブルとして使用された。
一方、 会期を含む10月の1カ月間に、半径 100メートルの周辺で投身自殺が8件相次ぐという異例の事態が発生。
当初「内装」であった縦穴は、事態の深刻化を受け、会期途中より上から鑑賞する「作品」として公開された。
本作はその一連の歴史を内包したモニュメントでもある。
2023年4月
Chim ↑ Pom from Smappa!Group