2009年10月24日土曜日

【本】風が強く吹いている


三浦しをん 著

 はじめて会った夜から、俺にはわかっていた。俺がずっと待っていたもの、ずっと欲していたものは、きみなんだと。
 走は、清瀬の理想の走りを地上に実現してみせる。これほどまでにうつくしい生き物を、ほかに知らない。
 夜空を切り裂く、流星のようだ。きみの走りは、冷たい銀色の流れだ。
 ああ、輝いている。きみの走った軌跡が、白く発光するさまが見える。