2013年10月7日月曜日

【本】感性で拓くマーケティング

恩蔵直人・買い場研究所 著

小麦や大豆など「一般商品」をコモディティと呼ぶ。今日では多くの製品やサービスが一般商品化しておりコモディティ化と呼ばれている。
伝統的なマーケティングでは細分化された市場に対し差別化した製品やサービスを提供するとともに、非価格競争を展開しやすいことが前提とされていた。ところがコモディティ化が進めば差別化は困難。知恵のない企業は価格競争にシフトせざるを得なくなる。
伝統的マーケティングを補強する新しい差別化軸の一つが感性である。

機能的ベネフィットと感性的ベネフィット
顧客価値はベネフィットをコストで除した値として捉えられている。ベネフィットは機能的ベネフィットだけではなく感性的ベネフィットの存在が無視できない。
機能的ベネフィットは製品の必要条件である。顧客は機能的ベネフィットが満たされていれば「安心や信頼」を感じるが、期待以下の場合不満より強いレベルの「怒り」を覚える。
一方、感性的ベネフィットは製品の必要条件とはいえず、むしろ付加的なベネフィットといえる。そのため感性的ベネフィットが期待以下であっても比較的弱いレベルの感情「不満」を覚える程度である。ところが感性的ベネフィットが期待以上であったならば、満足よりも強い感情である「喜び」へ結びつくはずである。
一般に消費者は不快を回避し快に接近しようとする。不快回避では防衛を目標プリペンジョン・ゴール)とし、目標達成により安心や信頼といった感情をもたらすが、快接近では好ましい状態を目標(プロモーション・ゴール)とし、目標達成により楽しさや興奮といった感情をもたらす。
自社ブランドに有効な感性ベネフィットを生み出し、顧客にそのベネフィットを実感させる。こうした発想は機能的ベネフィットに磨きをかけることに劣らず重要であり、コモディティ化した市場でビジネスを展開するうえで、きわめて有力な切り口となる。