民主党の鳩山由紀夫代表は7日、都内で開いたシンポジウムで講演し、日本の温暖化ガス削減の中期目標について「2020年までに1990年比25%削減を目指す」と表明した。6月に麻生太郎首相が表明した現政権の「05年比15%削減」を大きく上回る削減目標となる。22日にニューヨークで開く国連気候変動サミットに出席し、新たな中期目標を国際社会に打ち出す考えも示した。
シンポジウムは朝日新聞社が主催した。鳩山氏は講演で25%減の目標について「マニフェスト(政権公約)に掲げており、あらゆる政策を総動員して実現を目指す決意だ」と語った。
一方で中国やインドなど排出量が急増する新興国を念頭に「すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、我が国の約束の前提だ」とも指摘。米国や中国、インドも含めた主要国による国際合意が実行に欠かせないと強調し、日本だけが突出した削減目標を負わないよう予防線も張った。(07日 13:05)
鳩山代表の温暖化ガス25%削減表明 欧州「歓迎」、中国は警戒
民主党の鳩山由紀夫代表が2020年までに日本の温暖化ガスの排出量を「1990年比で25%削減する」との中期目標を表明したことについて、欧州と中国からコメントが出された。
【ブリュッセル=瀬能繁】12月に第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)が開かれるデンマークのヘデゴー気候変動・エネルギー相は「野心的な目標だ」と高く評価。「日本の次期政権の力強い指導力」によって今後の国際交渉に弾みがつくとみている。欧州連合(EU)は先進国全体で90年比30%削減が必要と主張している。欧州委員会は「日本の新政策はEUと同じ方向に進む」として、日本と連携を強める構えだ。
【北京=高橋哲史】中国国営の新華社通信は7日、鳩山代表が中国など新興国を含めた国際合意が必要と表明したことについて「削減義務のない発展途上国を削減義務国の範囲に入れようとしている」と批判する識者のコメントを紹介した。中国政府は先進国に大幅な排出削減を求める一方、途上国に削減を義務付けることには慎重な姿勢を示している。(07日 22:34)
温暖化ガス25%削減、経産相「極めて難しい」 環境相「高く評価」
二階俊博経済産業相は8日の閣議後の記者会見で、民主党の鳩山由紀夫代表が国内の温暖化ガス排出量を2020年までに1990年比25%削減する方針を表明したことについて、「実現は極めて難しい」との見方を示した。その上で、「実現に向けた手順を示し、国民の理解を得る必要がある」と注文を付けた。
一方、斉藤鉄夫環境相は8日の閣議後の記者会見で、鳩山氏の発言について「積極的な取り組みの姿勢ということで高く評価したい」と述べた。
25%の大幅削減には、産業界などから負担増を懸念する声が上がっている。環境相は「確かに大きな負担はあるが、それを上回る経済活性化も生み出せる」と強調し、新政権の温暖化対策が景気浮揚につながることに期待を示した。(08日 12:13)