2010年8月3日火曜日

【本】もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

岩崎夏海 著

著者は本著が大きなセールスをあげたことでホッとしたそうだ。
狙ったことが実現したから。
大きなセールスをターゲットにしていたので13歳以上の全人類を読者に想定したという。
本の個性を盛り込むために長いタイトルになった。最小限。「高校野球」「女子マネージャー」「マネジメント」「ドラッカー」を盛り込んだ。

組織とはどう運営すればそこで働く人々が生き生きと働けるか。
「マネジメント」は会社以外にも使える考え方。
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「顧客によって事業は定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である」
「顧客は誰か」
「企業の目的は、顧客の創造である。したがって企業は二つの基本的な機能を持つ。マーケティングとイノベーションである」
「マネジメントは、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果をあげさせなければならない」
「働きがいを与えるには仕事そのものに責任を持たせなければならない。そのためには①生産的な仕事、②フィードバック情報、③継続学習が不可欠である」
「専門家が効果的であるためには、マネージャーの助けを必要とする。マネージャーは専門家のボスではなく、道具、ガイド、マーケティング・エージェントである」
「人は最大の資産である」
「自己管理目標の最大の利点は、自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになることである。自己管理は強い動機づけをもたらす」
「働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない」
「自らや作業者集団の職務の設計に責任を持たせることが成功するのは、彼らが唯一の専門家である分野において、彼らの知識と経験が活かされるからである」
「企業の第二の機能はイノベーション、すなわち新しい満足を生み出すことである。よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければならない。企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常によりよくならなけらばならない」
「イノベーションの戦略の一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである。イノベーションを行う組織は、昨日を守るために時間と資源を使わない。昨日を捨ててこそ、資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる」
「成果とは何かを理解しなければならない。成果とは百発百中のことではない。百発百中は曲芸である。成果とは長期のものである。すなわち、間違いや失敗をしない者を信用してはならないということである。それは、見せかけか、無難なこと、下らないことにしか手をつけない者である。成果とは打率である。弱みがないことを評価してはならない。そのようなことでは、意欲を失わせ、士気を損なう。人は優れているほど多くの間違いをおかす。優れているほど新しいことを試みる」
「真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。真摯さは、とってつけるわけにはいかない。すでに身につけていなければならない。ごまかしがきかない。特に部下に対しては、真摯であるかどうかは二三週間でわかる。無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。だが、真摯さの欠如は決して許さない。彼らはそのような者をマネージャーに選ぶことを許さない」
「組織構造は、組織のなかの人間や組織単位の関心を、努力でなく成果に向けさせなければんらない。成果こそ、すべての活動の目的である。成果より努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるがごとき錯覚を生んではならない。仕事のためではなく、成果のために働き、贅肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない」
「成果中心の精神を高く維持するには、配置、昇給、昇進、降級、解雇などの人事に関わる意思決定こそ、最大の管理手段であることを認識する必要がある。それらの決定は、人間行動に対して数字や報告よりもはるかに影響を与える。組織の中の人間に対して、マネジメントが本当に欲し、重視し、報いようとしているものが何であるかを知らせる」
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エピローグで「甲子園ではどんな野球をしたいですか?」とインタビューされたキャプテンは「あなたは、どんな野球をしてもらいたいですか?」「ぼくたちは、それを聞きたいのです。ぼくたちはそれをマーケティングしたいのです。顧客が価値ありとし、必要とし、求めているものから、野球をスタートしたいのです」と聞き返す。
実際に顧客が自分がなにを欲しているのか具体的に説明できることはまずない。だから「これはどう?」「これは?」と提案して「そうそう、これが欲しかったの」を引き出すのでしょうね。