2011年2月20日日曜日

カメラマンの仕事

ジャバラの4×5判カメラを覗き込み、時計見ながらレリーズでシャッターを切り、でかいフィルムをガシャッと交換する。よく撮影に立ち会っていた頃は、それがプロの仕事だった。平井さんなんかアングル決めるとき、等身大のカメラとワルツを踊っているようでそれもすてきだった。

渡邊和俊さんの撮影に立ち会った。久しぶりの撮影現場。
三脚に乗った一眼デジタルからケーブルがMacBookに。モニタで確認しながら撮影。あたりまえだけど、ずいぶん雰囲気変わったなぁ。
1カットで3枚くらいの画像を合成するんだという。照明の場合、空間にあわせれば器具が飛ぶ。照明器具にあわせると空間がまっ暗に。
フィルムカメラの時代は消去法で撮影した。これは撮れない、あれも撮れない、だからこうやって撮ろう。デジタルになって可能性の撮影になった。こうやったら撮れる、こうやったらこうなる、これもやってみよう。
人が見た空間を画像にすることができるようになった。それは光学的に記録された画像ではなく、人の視覚を通じて脳に刻まれた画像を表現すること。そこには編集が不可欠。人はホワイトバランス、色のバランス、明るさの強弱・・・都合よく調整しまくって見たものを記憶している。だから画像処理するための材料を現場で撮っておく。撮ったあとがセンスの発揮しどころ。
「人が見たもの」を「こうだったでしょ」ってさらっと提示できる人、プロです。
日高敏隆氏のイマジネーションとイリュージョンの話を思い出した。
渡邊写真事務所