2012年4月22日日曜日

【本】スティーブ・ジョブズⅠ

ウォルター・アイザックソン 著 井口耕二 訳 

1979年12月、会社を軌道に乗せたAplleⅡの後継プロジェクトLisaの開発中にゼロックスのパロアルト研究所(PARC)に見学に行く機会ができた。そこで見たものがGUIとビットマップスクリーン。未来のコンピュータのあるべき姿だった。アップルのゼロックスPARC見学は、業界史上最大級の強盗事件だとされる。ジョブズ自身これを誇らしげに肯定する。「ピカソも『優れた芸術家はまねる、偉大な芸術家は盗む』と言っている。我々は偉大なアイディアをどん欲に盗んできた」 しかしこれは、コピー機にしか興味がなくコンピュータの将来性を理解していなかったゼロックスの不手際だ。
1984年1月24日マッキントッシュ発売。
ビル・ゲイツがウィンドウズの開発を伝えるとジョブズは盗みだとなじる。それに対しゲイツは「なんと言うか、スティーブ、この件にはいろいろな見方がある。我々の近所にゼロックスというお金持ちが住んでいて、そこのテレビを盗もうと私が忍び込んだらあなたが盗んだあとだった-むしろそういう話なのではないでしょうか」 ウィンドウズは酷いできだったが最終的にOSの戦いを制していく。
10年後ジョブズの言葉 「マイクロソフトが抱えている問題はただひとつ、美的感覚がないところだ。足りないんじゃない。ないんだ。オリジナルなアイディアは生み出さないし、製品に文化の香りがしない・・・僕が悲しいのはマイクロソフトが成功したからじゃない。悲しいのは、彼らが三流の製品ばかりを作ることだ」

ジョブズのどん欲なクリエイティブ性と嗅覚、思い通りにならないことへの悔しさ。激しい気性がみてとれる。そして数人が現在のコンピュータのありようを決めたとても重要な一幕。
アラン・ケイは「未来を予測する最善の方法は、自らそれを創り出すことである」と言った。まさに未来は数少ないリーダーによって創りだされた。