2013年まとめ
1. 本書の概要とコンセプト
対談者:
藤森照信:
建築史の圧倒的な知識と「路上観察」的・建築探偵的な独自の視点を併せ持つ専門家。 山口晃:大和絵や鳥瞰図のような精密な画風と鋭い美意識を持つ「平成の絵師」。
形式:
名建築を実際に訪れての臨場感あふれる対談。
山口晃によるスケッチ・挿絵・観察メモやエッセイ漫画。
テーマ:
単なる歴史的解説やガイドブックの枠を超え、「建築をどう見るか(眼差し)」「なぜその形・構造になったのか」を知識と感覚の両面から解き明かします。
2. 取り上げられている主な名建築(13件)
法隆寺、松本城、修学院離宮、日吉大社、三溪園(臨春閣・聴秋閣)、旧岩崎家住宅、西本願寺など、飛鳥時代から明治・大正期に至る日本建築の重要遺構を網羅しています。
3. 主な要約ポイント・見どころ
専門知識と独自の視点による解読
藤森照信が世界の建築史(東西の比較)や構造・歴史的背景を噛み砕いて解説。
「なぜ日本の神社仏閣は横長で、西洋の教会は縦長なのか」「茶室はどのようにして誕生したのか」といった根本的な問いから、屋根の勾配、柱の配置、木材の扱い方までを軽快に分析します。
画家の「眼」によるミクロな発見
山口晃が細部の納まり、土壁の表情、障子や腰張りが生み出す空間のリズム、光と陰影など、現地でしか感じ取れない造形上の魅力を鋭く言語化・視覚化します。
ユーモアあふれる「掛け合い」とディテール観察
建築の「格」や「歴史」だけでなく、ふたりが建物内の電柱や柿の実、あるいは風合いや細部の突っ込みどころに目を奪われるなど、ユーモラスな漫才のようなやり取りを通じて、自由で柔軟な「見方」を提示します。
環境や天候も含めた「見る感覚」の提示
建築そのものだけでなく、雨上がりの湿り気による木材の色合いの変化(濡れ色)や自然光の差し込み方など、一瞬一瞬の環境も含めた建築体験の楽しさを伝えています。
総評
本書は、「敷居が高い」「難しそう」と思われがちな日本建築史や建築鑑賞を、「知識(藤森)」と「感性(山口)」のダブルアプローチによって開放した一冊です。読後は「名建築を実際に訪れ、自分の目で細部までじっくり観察してみたくなる」ような知的刺激に満ちています。

