2008年5月20日火曜日

サミュエル・ウルマン  青春 Youth

訳詞 岡田 義夫

青春とは人生の或る期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦(きょうだ)を却ける勇猛心、
安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春というのだ。
年を重ねただけでは人は老いない。
理想を失う時に初めて老いが来る。
歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。
苦悶や狐疑や、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰も長年月の如く人を
老いさせ、精気ある魂をも芥(あくた)に帰せ締めてしまう。

年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
曰く、驚異への愛慕心、空にきらめく星辰、その輝きにも似たる
事物や思想に対する、欽仰(ぎんきょう)、事に処する剛毅な挑戦、
小児の如く求めて止まぬ探究心、人生への歓喜と興味。

人は信念と共に若く 疑惑と共に老いる。
人は自信と共に若く 恐怖と共に老いる。
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる。

大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして
偉力の霊感を受ける限り、人の若さは失われない。
これらの霊感が絶え、悲歎(ひたん)の白雪が人の心の奥までも蔽いつくし、
皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至れば、この時こそ
人は全くに老いて、神の憐れみを乞うる他はなくなる。

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青春とは
新井満 自由訳詩

 青春とは 真の 青春とは
 若き 肉体のなかに あるのではなく
 若き 精神のなかにこそ ある
 薔薇色の頬 真赤な唇 しなやかな身体
 そういうものは たいした問題ではない
 問題にすべきは つよい意思
 ゆたかな想像力 もえあがる情熱
 そういうものが あるか ないか
 こんこんと湧き出る 泉のように
 あなたの精神は
 今日も新鮮だろうか
 いきいきしているだろうか
 臆病な精神のなかに
 青春は ない
 大いなる愛のために発揮される
 勇気と冒険心のなかにこそ
 青春は ある
 臆病な二十歳がいる 既にして 老人
 勇気ある六十歳がいる
 青春のまっただなか
 歳を重ねただけで 人は老いない
 夢を失ったとき はじめて老いる
 歳月は 皮膚にしわを刻むが
 情熱を失ったとき 精神は
 しわだらけになる
 苦悩 恐怖 自己嫌悪
 それらは 精神をしぼませ
 ごみくずに変えてしまう
 誰にとっても大切なもの
 それは 感動する心
 次は何が起こるのだろうと
 眼を輝かせる 子供のような好奇心
 胸をときめかせ 未知の人生に
 挑戦する 喜び
 さあ 目をとじて
 想いうかべてみよう
 あなたの心のなかにある
 無線基地
 青空高くそびえ立つ たくさんの
 光輝くアンテナ
 アンテナは 受信するだろう
 偉大な人々からのメッセージ
 崇高な大自然からのメッセージ
 世界がどんなに美しく
 驚きにみちているか
 生きることが
 どんなに素晴らしいか
 勇気と希望 ほほえみを忘れず
 いのちのメッセージを
 受信しつづけるかぎり
 あなたはいつまでも 青年
 だが もしもあなたの
 心のアンテナが 倒れ
 雪のように冷たい皮肉と
 氷のように頑固な失望に
 おおわれるならば
 たとえ二十歳であったとしても
 あなたは立派な
 老人
 あなたの心のアンテナが
 今日も青空高くそびえたち
 いのちのメッセージを
 受信しつづけるかぎり
 たとえ八十歳であったとしても
 あなたはつねに 青春
 青春とは 真の 青春とは
 若き 肉体のなかに あるのではなく
 若き 精神のなかにこそ ある