東芝ライテック(恒川真一取締役社長)は4月14日、CO2の削減を目的として2010年をメドに一般白熱電球の製造を中止すると発表した。これにともない、06年度実績で年間約4000万個製造している生産ラインをすべて廃止する。甘利経産相が「家庭用照明の白熱灯を省エネタイプの電球型蛍光灯に総入れ替えしたい」と発言したことに呼応するもの。同社では今後、電球形蛍光ランプやLED照明などの省エネ製品に置き換える事業活動を加速する。
対象はボール電球を含む一般白熱電球でE26口金のもの。ホワイトランプ、長寿命ホワイトランプ、セミホワイトランプ、ウスシリカランプなど81機種。2010年度中に製造を中止する。なお、ミニクリプトンランプ、ハロゲンランプ、反射形ランプなど、現在の電球形蛍光ランプ等に置き換えできない、小形の白熱電球の製造は続ける。
同社は120年前に日本で最初に白熱電球を実用化。さらに1940年、日本で初めて蛍光ランプを製造した。1980年には世界初のボール形電球形蛍光ランプを実用化。電球形蛍光ランプの「ネオボール」シリーズは、発売以来累計で約1億2000万個を販売したという。白熱電球を、こうした電球形蛍光ランプに切り替えることが温暖化防止に有効という判断のもと、一般白熱電球の製造中止を決めた。これにより2010年には年間約50万tのCO2削減に貢献できると試算している。
白熱電球では松下に次ぐ35%ほどのシェアを有する同社だけに、業界への影響は大きい。今回の決定については「CO2削減に何らかのアクションを取らなくてはいけないと考えていた矢先、甘利経産相の発言がきっかけになった。120年の歴史があるだけに製造中止を惜しむ声も社内にあったが、環境問題を優先した結果の決断」(管球事業部)としている。