
モノスパイナル
設計:山口 誠 2023年
※Nano Bananaで信号、電柱、電線を消去。画像拡張。
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MONOSPINAL 詳報
東京・台東区浅草橋に建つ「MONOSPINAL(モノスパイナル)」は、建築家 山口誠 が設計したゲーム制作会社本社ビルです。2023年竣工。特徴的な「斜壁(しゃへき)」による外観が都市景観の中で強い存在感を放ちながら、創造的な執務環境を実現しています。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | MONOSPINAL |
| 所在地 | 東京都台東区浅草橋 |
| 用途 | ゲーム制作会社本社・事務所 |
| 設計 | 山口誠/山口誠デザイン |
| 構造・設備 | Arup |
| 施工 | 清水建設 |
| ランドスケープ | SOLSO |
| 延床面積 | 約3,567㎡(ArchDaily掲載値では約4,105㎡) |
| 規模 | 地下1階・地上8階 |
| 竣工 | 2023年6月 |
| 構造 | 鉄骨造・基礎免震構造 |
建築コンセプト
「創造性を支える器」
この建築は東京のゲーム制作会社の本社移転計画として構想されました。
ゲーム開発企業では社員の多くがクリエイティブ業務に従事するため、
- 深い集中
- 発想の転換
- リラックス
- コミュニケーション
のバランスが重要になります。
山口誠は、オフィスを単なる執務空間ではなく、
「創造性を支え続ける場所」
として設計しています。
最大の特徴:「脊椎」のような斜壁
「MONOSPINAL」という名称は、
- Mono(単一)
- Spinal(脊椎)
を連想させます。
建物を取り囲む鋸歯状の斜壁群が、まるで一本の背骨のように見えることから、この名称が与えられています。
斜壁の役割
この斜壁は単なる意匠ではありません。
① 騒音対策
敷地は高架鉄道に面しており、列車が頻繁に通過します。
特に録音スタジオが配置される階では壁を高く設定し、
- 電車騒音の遮断
- 音響環境の確保
を図っています。
② 採光制御
直射光を遮りながら、
- 反射光
- 間接光
を内部に導入します。
ゲーム開発や収録作業に適した均質な光環境を生み出しています。
③ 通風促進
壁面形状は風を取り込む「ウインドキャッチャー」としても機能します。
自然換気を促し、室内環境の質を高めています。
フロア構成
用途ごとに階ごとの性格が明確に分かれています。
1〜2階
- エントランス
- 吹抜け空間
- 来客対応
2〜3階
- シアター
- 録音スタジオ
高架鉄道側に配置され、遮音性を重視。
4〜6階
- 一般オフィス
- 開発業務スペース
5階
- ダイニング
- ラウンジ
- ジム
社員のリフレッシュ空間。
7階
- エグゼクティブルーム
- VIPミーティング
屋上
- BBQカウンター
- プール
創造性と交流を促すアメニティとして設置されています。
「ゲーム世界を建築化する」
非常に興味深いのは、内装や家具にもゲーム会社らしい思想が貫かれている点です。
建物内には、
- 中世ヨーロッパ風シャンデリア
- イタリア家具
- 盆栽
- 松
などが配置されています。
これらは単なる装飾ではなく、
ゲーム作品の世界観や登場アイテムを建築的メタファーとして翻訳したものです。
山口誠は
「本社ビルそのものがゲームでできている」
とも説明しています。
テクノロジー面の先進性
MONOSPINALは意匠だけでなく、運用システムも先進的です。
- スマートフォン連携
- タブレットによる設備制御
- スケジュール連動
- セキュリティ統合管理
- KNXオープンプロトコル採用
- DALI照明制御
により、利用者は施設を直感的に操作できます。
建築史的評価
MONOSPINALの重要性は、「オフィスビル」でありながら都市への自己主張を避けている点にあります。
通常のオフィスビルは、
- ガラスカーテンウォール
- 企業ロゴ
- 透明性
によって存在を示します。
しかしMONOSPINALは逆に、
- 用途を見せない
- 内部を見せない
- 自然物のように振る舞う
という戦略を取っています。
山口誠は、10cm幅の細いアルミ材を大量に集積することで、大きな建築を「自然地形のような存在」として成立させようとしました。
見どころを一言で
MONOSPINALは、
「ゲーム会社の本社を、ゲーム世界そのものへと変換した建築」
であり、
都市の騒音や雑多な景観を遮断しながら、光・風・創造性だけを内部へ取り込む“背骨の建築”
として、近年の東京オフィス建築の中でも特に独創的な作品の一つと評価できます。
