(優勝がかかった試合で、最後に決定的なシュートを外した佐藤勇人選手へのオシムの言葉)
ミックスゾーンにいた勇人は、悔しくてたまらなかった。そこに記者が話しかけた。
「監督に、最後の佐藤のシュートが残念でしたね、と聞いたんだよ。そうしたら、『シュートは外れる時もある。それよりもあの時間帯に、ボランチがあそこまで走っていたことをなぜ褒めてあげないのか』と言われたよ」
全身が痺れた。この人はどこまでも自分たちを見ていてくれる。その上、選手を横一線で見ているのだ。
木村元彦著
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