2009年7月14日火曜日

【本】大槻正の言葉

 大槻正は、平成十五年八月、周囲の人たちの度肝を抜いた。何とまたソニーを辞めた。選んだのは、香港に本社を構える部品メーカー。大きな会社はやはり性に合わない。小さな枡でも自分の手足を広げられるところの方が燃えるのだという。
「人生、会社を選ぶのではない。仕事を選ぶんだと言い聞かせています。そして、いつもチャレンジです。情熱の持てる仕事ができるところなら、私はどこでもいいんです。生涯一技術者。就職はしますが就社はしません。物を作り上げる喜びを感じていたいと思っています」
 デジタルオーディオ編集機、光磁気ディスク、そしてAIBO。世界初に挑み続けてきた技術者・大槻正は、「本当に世の中の人を驚かし楽しんでもらうようなものをまた作りたい」と言う。

「プロジェクトX 新・リーダーたちの言葉」より

1948年京都府生まれ。1972年静岡大学工業学部卒業後、ソニー㈱入社。カラーテレビ選局システム開発、光磁気ディスク開発、商品化などを経て㈱ナムコに転職し、3次元CGの開発研究を担当。1997年エンターテイメントロボット(ER)開発・事業化のチーフとしてソニーに戻りAIBOの開発・商品化を行った。ER開発の組織は2000年から社内カンパニー化し、副社長として活躍後、スミダコーポレーション㈱に入社、グローバル経営を実践。2006年12月より㈱ニコンに入社し、映像カンパ二―で新規事業開発を担当。