2026年6月2日火曜日

モダンファニチャーヒストリー 今さら聞けない! 歴史から読み解く家具デザイン

著・寺田尚樹/2026年1月刊行

「今さら聞けない! テラダセンセイのモダンファニチャーヒストリー」イベントレポート

<前編> <後編>


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2026年1月に刊行された書籍『モダンファニチャーヒストリー 今さら聞けない!歴史から読み解く家具デザイン』の刊行記念トークイベント(2026年3月開催)のレポートです。

著者である建築家・デザイナーの寺田尚樹さん、聞き手の二俣公一さん、モデレーターの藤本美紗子さんが登壇し、第一章の舞台である「ドイツのモダンファニチャー史」をテーマに語られた内容がまとめられています。

  • 「モダン」デザインの定義
    王侯貴族の一点ものではなく、「大量生産され、欲しい人が買える状況にあり、広く普及して生活の質を変える影響力を持つもの」と定義しています。

  • モダンファニチャーを形作った3つの椅子
    職人が分業して合理的に作られていた「ウィンザーチェア」と「シェーカーチェア」、そして完全ハンドメイドながら構造が後のスカンジナビアの椅子に影響を与えた中国の「圏椅(クワン イ)」の3つを、モダン家具の椅子の原型として挙げています。

  • 大量生産の先駆者「トーネット社」の功績
    ドイツのトーネット社が発表した椅子「No.14」を大量生産の始まりとしています。同社は、蒸気で木を曲げる画期的な特許技術だけでなく、森の近くの工場でパーツを加工し、最小サイズに分解して梱包・輸送する「フラットパック(ノックダウン式)」の物流システムを当時すでに構築していました。

  • 生活に馴染まなかった「モダン」と、もう一つの潮流
    バウハウスの鋼管(スチールパイプ)家具やイームズの椅子など、現代で名作とされるデザインも、当時は合理的・未来的すぎて一般層や富裕層にはすぐには受け入れられなかった歴史が語られます。また、産業革命による大量生産や環境汚染に異を唱えたウィリアム・モリスの「アーツ・アンド・クラフツ運動」についても、その美しい装飾性や当時の時代背景(モリスの私生活の悲哀など)を交えて触れられています。

  • バウハウス師弟のアイデア合戦
    「キャンティレバー(片持ち出し)」構造の椅子を巡るマルト・スタムとマルセル・ブロイヤーの裁判や、実験集合住宅プロジェクト「ヴァイセンホーフ・ジードルング」でのデザイナーたちの関係性が明かされています。

  • ル・コルビュジエの悔しさと「LCシリーズ」
    ドイツ勢の先進的な鋼管家具に衝撃を受けたコルビュジエが、その敗北感をバネにわずか1年で名作「LCシリーズ」を完成させた背景や、共同開発者であるシャルロット・ペリアンの人物像が語られています。

  • ナチスの台頭とバウハウスの解体
    ナチス政権による弾圧を受けてバウハウスが解体され、アメリカなどに亡命した建築家たちが結果的に「モダン思想」を世界へ広めることになった歴史の皮肉に触れています。

  • 「ビートル(車)」や「アリンコチェア」にみるモダンの思想
    機能的かつ安価なモビリティとして生まれたフォルクスワーゲン・ビートルの誕生秘話や、戦後の物資不足という逆境から生まれたアルネ・ヤコブセンの「アリンコチェア(3本脚)」の知恵が紹介されています。